そしてホン読み。
監督とは、Mくんより圧倒的にわしの方が親密度が高いので、わりと好き放題言われて言ってで、初稿はすっかり様変わりしていった。
シナリオの基本的なフォーマットも、このとき、監督から教えてもらう。
キャストは三人までという縛りも、監督の「いくらなんでもレギュラーをもう一人。あとゲストも一人二人追加しないと話を広げられないでしょう。その代わりカット数と動画枚数は死守しますよ」という発言で簡単に増員される。
初稿は、銀鈴、大作、アルベルトで話をでっちあげていたのだが、そこにレギュラー村雨と、ニセ銀鈴を増やしてもいいことに。ほぼ監督のリクエストを反映させ、たしか三日後くらいに二稿をあげた。そしてシナリオはあっさりと決定稿になったのであった。
しばらくして絵コンテが届き、AR台本が送られてきて、収録日とスタジオの地図がファックスされてきたが、勤め人の悲しさ、平日だったためARには立ち会えず終い。
でも当時は、まだフィルムの時代だったので初号試写があって、場所は調布の東現だった。こちらは夜8時だったので会社帰りに顔を出せた。なんとそのまま東現の食堂でスタッフ打ち上げ。
予算がないと言いながら、ちゃんと予定通りに発売できるようになったということで、別予算で一席設けたそうだ。
そして…
なんとびっくり、低予算アニメ「素足の銀鈴」は、期待されていなかったにもかかわらず馬鹿売れ。
本編制作費を稼ぎだすために続編の制作が決定!
実際、その後2本の銀鈴モノが制作されたけど、シナリオはちゃんとプロに発注されたのだった。
実はまだこのあと、ギャラに関するゴタゴタが元副社長との間にあったりするのだが、そこは割愛。最終的に、携帯電話の導入資金の補填ができたことだけ書いておく(^^;
こうしてどさくさまぎれにシナリオライターとなったわしは、のちに「売れた銀鈴の人に仕事を頼みたい!」という奇特な人が現れ、兼業ライターを続けていくことになるのだが、それはまた別のお話。
おわり