「ジャイアントロボ外伝 素足の銀鈴 盗まれた戦闘チャイナを探せ大作戦」
商品名はもう流通関係に流しているので変更不可。
このタイトルをつけられるようなプロットが一週間以内に欲しい。
それが担当プロデューサーMくんのリクエストだった。
先方の言うことを全部聞いたあとで、おもむろに「わし、シナリオなんか書いたことないんだけど、ええのん?」
その言葉を聞いたとき、引き攣った引き攣った。Mくんの顔たるや…
ここでようやく、彼も自分が騙されてたことに気づいたらしい。
しかも、よくよく問いただすと、今日がプロットの締め切り日だったようなのだ。自分で書けないから代わりの者を紹介するといって素人を紹介して、しかもその現場に自分が来ない。いやいや大物のやることには感心させられちゃうねぇ。
どう考えても無理な状況。とはいえ、ここでわしまで逃げ出しちゃうとMくん、すごく困るらしい。
どんだけ困るのかといえば、素人でもいいからとにかく書いて欲しいというので、引き受けることにした。
とりあえず、出てる分のジャイアントロボのシロバコをもらって観るところからはじめた。(実は#1しか観てなかった)
ついでに角川で連載してたマンガの方も手に入れて読む。
泥縄もいいところだが、世界観がわからないままネタ出しはできないもんね。
正直15分でどれくらいの分量のお話が作れるのか見当もつけられなかったんだけど、約束通り一週間でネタを出してファックスした。(まだ世の中のデジタル化が進んでなかったんだよねぇ。いまならメールで済むのに)
どんな段取りのために一週間後に必要だったのか不明だが、渡した翌日、内容はOKだからすぐシナリオに着手して欲しいと電話をもらう。
さぁ大変(^^;
それまでわしは雑誌の記事とか、ゲームのマニュアルしか書いたことがないのである。当時、某月刊誌で、ようやく記名で1ページ連載をさせてもらえるようになったばかりの頃だ。
だいたい、どんなフォーマットで書いていいのかもわからん。
っていうか、アニメって監督が決まらないうちにシナリオ作っちゃうもんなの?
アニメの制作会社にいながら、アニメの現場にまったくノータッチだったわしは、そもそもアニメがどんな段取りで作られるのかすら知らなかったのであった。
つづく
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この当時、関西人に囲まれて暮らしていたせいか似非関西弁を話していたんだね。
一人称も「わし」だった模様(^^;