編集者ネタのときに少し触れたけれど、芦田豊雄さんには、とてもとてもお世話になった。月刊アウトの読者のときも、サラリーマンを辞めてフラフラしているときも、二つめの会社を立ち上げたときも、今の会社を作ったときも、ひとつひとつあげたらきりがないほどで、なにか困ったことがあると頼って行った。芦田さんは嫌な顔もせず、話をきいてくれたものだ。
そんな芦田さんはもういない。
生前、芦田さんと実現を約束していたことが三つある。
ひとつは、芦田さんの描いたマンガ『新撰組異聞 暴流愚』の再刊とアニメ化。去年新装版を出すところまでは漕ぎ着けたけれど、アニメ化は道半ばっていうか、企画書しかできていない。
ひとつは、芦田さんが監督をした『空想科学世界ガリバーボーイ』のビデオグラム化。
これは芦田さんが健在な頃、はじめて東映アニメーションに行って話をしたのだが、もう実現のハードルが高くて高くて。「どうしようもないな」と芦田さんが言っちゃうくらい実現不可能な感じだった。
2012年にいろいろなラッキーが重なって、無理に無理をしてDVDボックスが発売になった。
芦田さんのイラストもできるだけ収録したブックレットも作った。
まだ市場在庫があるので「わぁ知らなかった!」という方はこの機会に是非。
そして最後のひとつは…じつはもう実現不可能なちっちゃな約束。
もうすっかり昔のことのように感じてしまうが、地上デジタル放送への移行があったのは2011年7月24日のことだ。奇しくも芦田さんの命日の翌日。
地デジ化推進がされているころ、打ち合せでスタジオ・ライブに行った。久しぶりに芦田さんが会社にいたので、雑談をしていて『アナログ放送の停波後の空いた帯域の使用目的とか、政治的な経緯を語る』流れになった。
芦田さんは「それ面白いな。こんど詳しく聞かせて」と笑った。
「通信科隊員の面目躍如。いつでもどんだけでも語るから呼んでください」と返してその日ボクは帰った。
その後、スタジオで芦田さんと会う機会がないままで、この話を語ることもなかった。
芦田さんと最後に言葉を交わしたのは2011年3月29日のこと。芦田さんが社長を勇退して会長になったことのお披露目の会だった。
ボクの両肘をがっちりつかんで「いままでほんとうにありがとぉ」と言われた。それはこっちのセリフでっせ!と返したいところであったのだが、言葉がでなかった。
さて、三つの約束というタイトルで書いてみたものの、もしかしたら生前、言いっぱなしで実現できてないこが、まだあるかもしれない。いやいや、きっとあるに違いない。