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うしにひかれて

最近すっかりポケGO日記

幻のTVアニメデビュー

過去紹介

 ある日、TVシリーズのオファーがあった。

 全26話で放送は1年後。監督は決まってないけど、スタジオは内定している。ついては26話分の構成案を作れとのこと。

 だまし討ちにあったみたいなデビューだったが、それが売れたおかげでその後けっこう仕事が舞い込んでいたのだけれど、さすがにTVのオファーがいきなりきたのには驚いた。実際のところ、いまでも何故ボクのところに話が来たのかさっぱりわからない。

 とにかく、メーカーPの希望は、親子の情愛をやりたい!の一点。権利元から「自由にやってもらってかまわない」と言われているとのこと。

 例によって、シリーズ構成はおろか、そもそもTVアニメをやったことがなかったので、なにをどうしたもんかわかっていなかったが、1年先なら大丈夫だろうと思ってしまった。

 

 原作となるネタはスーパーファミコン用のゲーム。

 分岐がたくさんあるのでゲームをプレイしてる時間はさすがにない。ゲームシナリオをテキストで欲しいとお願いしたら、段ボール箱いっぱいのプリントアウトが送られてきた。いやぁまいった。もちろん読みました。全部。

 自由にやっていいと言われても、さすがに中身を全然知らないまま完全オリジナルってわけにもいかんだろうと思って読んだわけだが、結局完全オリジナルにしてしまった。

 ざっくり全体の流れを組んだうえで、Pのニーズの親子ネタにするため、主人公をゲームキャラの血縁設定にした。アンドウという名字だったので、主人公は安藤ケン。以前居た会社の制作進行くんからいただいた。妹を安藤サユリ。高校の同級生からいただいた。www

 好きだった古城武司版勇者ライディーンからもネタを頂いて、富士山の風穴に秘密基地を設定した。

 もちろんそんなネタばらしはしなかったけど。

 Pと何度かブレストしつつ、骨組みを作ったうえで、1話のシナリオに着手。

 わりと早いうちにPが納得するものが出来た。その後、監督が決まり、スタジオで顔合わせ。構成案と1話のシナリオを渡すと第一声が「B5じゃないと読まない」というもの。相手は大御所。自分が小学生の頃大好きで見てたあれやこれやの監督。なんのこっちゃと思いつつも、A4でプリントアウトしてたものをB5に縮小コピーして渡すと「こうじゃない。B5にペラ1にしろ」という半切れな指示。

 ワープロ専用機で書いてた時代だったけど、レイアウト変えるくらいはなんてことはないのだけれど、大御所さまの言動にどうしてくれような気分にはなっていた。

  実はここまでで一週間以上無駄にしていた。

 ともかく、指示通りのフォーマットで用意されたシナリオをもとに第一回目のホン読みがはじまる。

 ファーストシーンはPのリクエスト通りに作った水没した新宿から。崩れかけた都庁のツインタワーの片方になにかが突っ込み、完全に崩れる。

 大御所さま曰く「つかみは大事。これじゃありがち過ぎてつまらない。もっとどうにかならないのか」

 都庁を壊したいからそこから始めろってのはPの指示だったんだけれども、P、沈黙。

 つづけて大御所さまが「とにかくつかみは大事だから、もっと練り込め。それと主人公以外のキャラがわかりにくい。この人物が実写だったら、たとえばこの所長ならば、成田三樹夫でいこう。成田が話してるつもりでセリフを書け」という具体的なんだけど、理解できない指示をもらう。

 いかん、何十年も経っているのに頭の中に声が響いてくるぞwww

 

 ということでPのリクエストに従った部分、Pはフォローしてくれない上に大御所さまの言うことを聞いて書き直して欲しいとおっしゃる。

 もちろん、直しましたともさ。それから14回。1話のシナリオ、毎週毎週直しましたよ。三か月以上やって、ついにPから、企画を凍結することになったと連絡が来たのであった。

 駆け出しで、力がなかったのは当時から自覚してたけれど、いくらなんでもこれはって毎日であった。

 それから二年くらいしたある日、これ放送された。

 もうびっくりである。監督も交代していたがスタジオはそのまんま。1話のシナリオ、もちろんボクじゃない人がテロップされてたけど、骨組みはそのまんま。全話を通してもあらすじは…。いろいろ作ったオリジナルロボは総ボツになっていたけれど、 主人公の名前は安藤ケン。妹はサユリ(^^;